絵を、多田進さんに折り本に仕立てていただきました。(写真左下)
毎日、人にはやるべきことがいっぱい。
でも草には、とても大切な仕事とたっぷりの余白があって
そんな草への憧れをうたったこの詩が好きで、絵を描きました。
わたしにとっての草は、はだかの子ども。
生まれたまんまのはだかで生きて、乾草になれたらなぁ・・・
それで最期は納屋に住まずに 勢いよく風に飛ばされる!
憧れです。
ただいまウィリアム モリスにて展示中 11/28まで。
多田 進「オリホン」と遊ぶ http://tadasusu.exblog.jp/
' The Grass so little has to do ⎯ '
The Grass so little has to do ⎯
A Sphere of simple Green ⎯
With only Butterflies to brood
And Bees to entertain ⎯
And stir all day to pretty Tunes
The Breezes fetch along ⎯
And hold the Sunshine in its lap
And bow to everything
And thread the Dews, all night, like Pearls ⎯
And make itself so fine
A Duchess were too common
For such a noticing ⎯
And even when it dies ⎯ to pass
In Odors so divine ⎯
LikeLowly spices, lain to sleep ⎯
Or Spikenards, perishing ⎯
And then, in Sovereign Barns to dwell ⎯
And dream the Days away,
The Grass so little has to do
I wish I were a Hay ⎯
Emily Dickinson
' 草はなすべきことがあんまりない ⎯ '
草はなすべきことがあんまりない ⎯
単純な緑のひろがり ⎯
ただ蝶の卵を孵し
蜜蜂をもてなすだけ ⎯
そしてその風が運んでくる
美しい調べに一日じゅう揺れ ⎯
日光をひざに抱きかかえ
みんなにお辞儀をし ⎯
そして一晩じゅう、真珠のような、露に糸を通し ⎯
美しく着飾るものだから
公爵夫人も平凡すぎる
その装いの前では ⎯
そして死ぬ時も ⎯ 神聖な
匂いにつつまれて去る ⎯
眠りについた、野生の香料 ⎯
あるいは枯れていく、甘松のように ⎯
それから、堂々たる納屋に住み ⎯
毎日を夢のうちに過ごすだけ、
草はなすべきことがあんまりない
わたしは乾草になれたらいいのに ⎯
エミリー・ディキンソン
岩波文庫「対訳 ディキンソン詩集」亀井俊介編 より
Or Spikenards, perishing ⎯
And then, in Sovereign Barns to dwell ⎯
And dream the Days away,
The Grass so little has to do
I wish I were a Hay ⎯
Emily Dickinson
' 草はなすべきことがあんまりない ⎯ '
草はなすべきことがあんまりない ⎯
単純な緑のひろがり ⎯
ただ蝶の卵を孵し
蜜蜂をもてなすだけ ⎯
そしてその風が運んでくる
美しい調べに一日じゅう揺れ ⎯
日光をひざに抱きかかえ
みんなにお辞儀をし ⎯
そして一晩じゅう、真珠のような、露に糸を通し ⎯
美しく着飾るものだから
公爵夫人も平凡すぎる
その装いの前では ⎯
そして死ぬ時も ⎯ 神聖な
匂いにつつまれて去る ⎯
眠りについた、野生の香料 ⎯
あるいは枯れていく、甘松のように ⎯
それから、堂々たる納屋に住み ⎯
毎日を夢のうちに過ごすだけ、
草はなすべきことがあんまりない
わたしは乾草になれたらいいのに ⎯
エミリー・ディキンソン
岩波文庫「対訳 ディキンソン詩集」亀井俊介編 より